【完全保存版】グリーチャの作り方|グアンチャーレの旨味が主役のローマ伝統パスタ

グリーチャのアップの写真

カチョ・エ・ペペ、カルボナーラ、アマトリチャーナ。
ローマの伝統パスタを調べていくと、その“間”にひっそりと存在するのがグリーチャです。

正直、今回の記事を書くまで私自身もこのパスタを知りませんでしたが、実際に作ってみると、
「これが一番ローマパスタらしいさがあるのでは、、」と思わされる、強烈な個性を持った一皿でした。
チーズと胡椒だけのカチョ・エ・ペペにグアンチャーレの脂が加わることで生まれる、シンプルなのに抗えない旨さ。

この記事では、グリーチャというパスタの立ち位置から、美味しさの正体、家庭で失敗しない作り方までを実体験ベースで整理していきます。

グリーチャ成功のポイントは以下の3つです。

  • グアンチャーレを極弱火でレンダリングする
  • 茹で汁は多めに確保する
  • チーズは60℃前後で数回に分けて入れる

なおこのレシピは、ローマ4大パスタ同時調理検証の第2弾です。
4つのパスタの進化の歴史や、4皿を同時に作る戦略についてはこちらをご覧ください!

目次

グリーチャとは?|「白いアマトリチャーナ」と呼ばれる理由

グリーチャ(Gricia)は、カチョ・エ・ペペにグアンチャーレを加えたパスタです。

トマトを使わないので「白いアマトリチャーナ」や「アマトリチャーナ・ビアンコ(ビアンカ)」と呼ばれることもあります。食材はパスタ、ペコリーノ、胡椒、パンチェッタだけのシンプル構成です。

※ローマパスタの原点、カチョ・エ・ペペのレシピを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!

美味しさの正体|グアンチャーレの脂がすべてを決める

グリーチャの美味しさは、ほぼグアンチャーレで決まると言っても過言ではありません。
パンチェッタでも作れますが、ローマらしさは確実に一段落ちます。

  • グアンチャーレの特徴
    • 脂が硬く、溶け出しすぎない
    • 加熱しても香りが残る
    • 旨味がストレート

今回作って改めて感じたのは、「脂が調味料になる」という感覚です。塩を足していないのに勝手に味が決まるのがグリーチャです!

グリーチャのルール

カチョ・エ・ペペと同じく、グリーチャにも必ず守らなければならないルールが1つだけあります。

それは、チーズは必ず「ペコリーノ・ロマーノ」であること。

「ペコリーノの塩味が味のベースになる」、「茹で汁と合わせてマンテカトゥーラを行う際にトロンとした滑らかなソースになり易い」といった調理的な理由もありますが、伝統的なローマパスタには、ペコリーノ・ロマーノを使うと覚えておくと良いと思います。ローマの地名が入ったチーズなのでやはり特別なんでしょうね。

グリーチャの食材(1人分)

基本はカチョ・エ・ペペにグアンチャーレを足すだけです。
グアンチャーレの脂身が入るので、ペコリーノはカチョ・エ・ペペより少なめでOKです。

  • パスタ(スパゲットー二など、2mm以上の太いパスタがおすすめ):80g
  • ペコリーノ・ロマーノ(ブロックから削る):20g(カチョ・エ・ペペより少なめでOK
  • ブラックペッパー(マリチャ):お好みの量
  • パスタの茹で汁:適量
  • グアンチャーレ:30g

シンプルだからこそ食材にはこだわりたい

MANCINI(マンチーニ)のスパゲットー二

マンチーニは、イタリアのマルケ州に本社を構えるパスタメーカーです。
2010年創業と若いパスタメーカーですが、彼らの最大の特徴は、イタリアでも非常に珍しい「自社栽培の小麦のみを使用する」という徹底したこだわりです。いわば「農家が作る、パスタの理想形」です。

一般的なパスタは効率重視で高温短時間乾燥させるのに対し、マンチーニは45度以下の低温で最大60時間という長い時間をかけてじっくり乾燥させます。
これにより、小麦本来の豊かな香りと栄養、そして「もっちりとしていながら歯切れの良い」唯一無二の食感が生み出されます。そして茹で汁にデンプンがしっかり溶け出して乳化を助けてくれます

またブロンズダイス(伝統的なブロンズ(真鍮)製の金型)でパスタを押し出すので、表面にザラザラとした「サメ肌」のような質感が生まれます。これがグリーチャ(グアンチャーレ)のパンチがある旨み脂と粘度のある濃厚なソースをしっかりと捕まえてくれます。

ローマパスタにはブロンズダイスのパスタが必要不可欠です。


MARICHA(マリチャ)のブラックペッパー

マリチャは、イタリアのヴェネト州ヴェローナの会社です。
ロミオとジュリエットの舞台としても有名なヴェローナでジャマイカカフェを構えていたジャンニ・フラージさんが、世界中の胡椒産地を探し回って見つけたマレーシア、サラワク州の黒胡椒です。

通常、ブラックペッパーは未熟な実を収穫して乾燥させますが、マリチャは木の上で赤く完熟した実だけを丁寧に手摘みして、収穫から24時間以内に加工します。これにより、鼻に抜ける爽やかな柑橘系の香りと、後から追いかけてくる力強い辛みが共存するとのことです。

マリチャの最大の特徴は、独自の乾燥・選別プロセスです。
不純物を徹底的に取り除き、胡椒が持つ「精油成分」を壊さないように仕上げられているため、ミルで挽いた瞬間の香りの立ち方が他の追随を許しません。

マリチャはまさに「胡椒の宝石」です。マリチャの黒胡椒は、単なるスパイスの枠を超え、料理全体の輪郭をくっきりと浮き上がらせる「最後のピース」として機能します。

マリチャの黒胡椒はローマパスタを完成させる最後のピースです。

マンチーニの濃厚な小麦の甘みに対して、対極にあるマリチャの鋭い香りをぶつけることで、シンプルながらも重層的な、本場ローマの味が完成します。

マリチャの写真

Zanetti(ザネッティ)のペコリーノ・ロマーノ

ザネッティは、イタリアのロンバルディア州に本社を構える伝統的チーズメーカーのブランドです。
創業は1900年代初頭と、100年以上の歴史がある老舗で、イタリアを代表する硬質チーズ(ペコリーノ・ロマーノやグラナ・パダーノなど)を世界中に輸出する大手メーカーです。カルディでお馴染みですね。

ザネッティのペコリーノ・ロマーノは、D.O.P.(原産地名称保護)認定を受けた厳格な基準で生産されており、そのままでもワインの最高のお供ですが、パスタに使うとクリーミーなソースへと変貌します。
カルディで手軽に買える本格的なザネッティのペコリーノは、日常の料理を一瞬でローマの食卓に変えてくれます。


自家製のグアンチャーレ

グアンチャーレは、東京だとEATLYや明治屋などを探せば置いてあることもありますが、個人的には自家製で作ることをお勧めします。
原材料である豚の頬肉、日本だと首肉あたり(脂を削ぎ落とす前の豚トロ)のお肉を手にいれることが難しいですが、精肉店に頼み込むかECサイトを探すかで入手できれば、ピチットシートで簡単に作ることが出来ます。
パンチェッタを作った時の記事の後半に自家製グアンチャーレの写真も乗せていますので良かったらご覧ください!

今回は過去に作って真空パックで保存していたグアンチャーレを利用しました。

実際の調理工程

ここからは実際の調理工程のご紹介です。

グアンチャーレを極弱火でじっくり脂を抽出(レンダリング)する

グリーチャがカチョ・エ・ペペと決定的に違うポイントは、豚の脂をソースの主役にするという点です。

写真は4皿同時に作った時の写真なので3つの山になっていますが、1皿で作る時も同じです。
決して焦がさないように、弱火でじっくりじっくりと脂を「抽出(レンダリング)」していきます。


今回はレンダリングが終わった後に一回まとめてお皿にとり分けて、それぞれのフライパンに分配しました。
グリーチャ用のフライパンは中尾アルミのシルクフライパンです。蓄熱性が強いので、脂を安定して溶かせることが出来るため、グアンチャーレの旨みをムラなく引き出せると思います。

レンダリングが完了した脂とグアンチャーレのアップ写真
レンダリングが完了した脂とグアンチャーレが入った中尾アルミのシルクフライパン

パンチェッタで代用は可能か?

上段でも軽く触れましたが、パンチェッタでも代用可能で美味しくは作れます。
ただローマらしさは確実に一段落ちます。

  • グアンチャーレの特徴
    • 脂が硬く、溶け出しすぎない
    • 加熱しても香りが残る
    • 旨味がストレート

派生レシピとして、パンチェッタやパルミジャーノなどで作ってみるのも楽しいと思いますが、一度は本場のレシピでグアンチャーレで作ってもらいたいです!

パスタを茹でる

グアンチャーレの脂を抽出(レンダリング)出来たらパスタを茹でます。
慣れたら先にパスタを茹でてもOKですが、焦っていいことは1つもないので最初はレンダリングが終わってからパスタを茹で始めましょう。

パスタを茹でる時にはMOTHIAの塩を入れると良い感じです。

茹で汁を加えてソースのベースを作り、パスタを投入

カチョ・エ・ペペと同じく、茹で汁をフライパンに加えてグアンチャーレの脂と乳化をさせます。
そして規定の茹で時間の1分ほど前で上げたパスタを投入して、火にかけてソースベースとしっかり混ぜ合わせます。


ここで一度フライパンを煽って乳化したソースベースとパスタを和えます。
掛け声はマンテカトゥーラ!マンテカトゥーラ!!です。

カチョ・エ・ペペと同じく、茹で汁の量を多めにしておくと失敗しにくいです。


ここから先の注意点は、カチョ・エ・ペペと全く同じです。

必ず火を止めて、何度かフライパンを振って温度を下げた上で、ペコリーノを数回に分けて入れていきます。
フライパンの温度が高い状態でペコリーノを入れてしまうとすぐに固まってしまってダマになります。

65度を超えてくるとチーズに含まれるタンパク質が凝固してゴムのようなダマになります
一度固まったチーズはもう滑らかなソースにはなりません。マンテカトゥーラ(乳化)の理想は60度前後です。

カチョ・エ・ペペと同じく、グリーチャもやってしまっています。
完成の写真でダマになったチーズが上に乗ってます。カチョ・エ・ペペより写真が明るいのでわかり易いですね。。
これが65度を超えてダマになってしまったストラッチャテッラです。

グリーチャのアップの写真
ペコリーノがダマになって残念なグリーチャ。でも味は美味しかったです。


こうならないように、ちゃんと温度を下げてからチーズを投下することがマンテカトゥーラの極意です。
繰り返しになりますが、必ず火を止めて、何度かフライパンを振って温度を下げましょう

グリーチャはグアンチャーレの脂がある分、カチョ・エ・ペペよりも乳化が安定しやすいので、カチョ・エ・ペペで挫折した人は、まずグリーチャで乳化の成功体験を積むのもおすすめです!

ペコリーノが乳化したグアンチャーレの脂と合わさった、トロンとしたツヤのあるソースを目指しましょう!

失敗しやすいポイント

カチョ・エ・ペペと同じです。

以下をやってしまうと高確率で失敗して残念なパスタになります。
火を止めて温度を下げてからチーズを複数回に分けて入れるだけ覚えておけばOKです。

  • 茹で汁の量が少ない
  • チーズを入れる際にフライパンの温度が熱すぎる
  • チーズを一気に入れる
  • 市販の粉チーズを使う

グリーチャは、以下の人はハマると思いますので是非作ってみてください!

  • カチョ・エ・ペペが好きな人
  • ローマパスタを本気で理解したい人
  • シンプルな料理ほど燃える人

今回作って感じたこと(所感)

4大パスタを同時に作ってみて、個人的に一番印象に残ったのがグリーチャでした。

  • シンプルなカチョ・エ・ペペにグアンチャーレの旨みが最高にマッチ
  • カルボナーラやアマトリチャーナほどの足し算ではなく、まだシンプルな味わい

わかり易い派手さはないけれど、グリーチャなしではローマパスタは成立しないと実感出来る一皿です。
いまグアンチャーレのストックがないのでリベンジは少し先になりますが、グアンチャーレ仕込んだ際は1番にグリーチャを作ろうと思います。

本当に美味しいのでぜひ一度作ってみてください!

グリーチャで豚の脂の旨味をマスターしたら、次はいよいよトマトを加えた「赤い革命」、アマトリチャーナです!トマトが加わることでローマパスタは家庭の賄いから都市を代表する名物料理へと進化していきます!

最後までご覧いただきありがとうございました!マンテカトゥーラ!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次