【完全保存版】カチョ・エ・ペペの作り方|チーズと胡椒だけのローマ最古のレシピ

カチョ・エ・ペペのアイキャッチ画像

カチョ・エ・ペペは、パスタ・チーズ・胡椒の3つだけで作る超絶シンプルなローマパスタです。

材料も作る工程もめちゃくちゃシンプルですが、「ローマのパスタはここから始まった」とも言われる、いわばローマパスタの原点なだけあり、一切の誤魔化しが効かない「作り手の腕が試されるパスタ」です。

チーズがダマになる、ソースが乳化しない、ただ塩辛いだけになる――
カチョ・エ・ペペで一度はつまずいた人も多いのではないでしょうか?カチョ・エ・ペペは、シンプルだからこそ難しい

この記事では、なぜチーズがダマになるのかという科学的な理由、絶対に失敗しないための『温度管理』のコツなど、「家庭で失敗しないためのポイント」に絞って、カチョ・エ・ペペの作り方を解説していきます。

カチョ・エ・ペペ成功のポイントは以下の3つです。

  • チーズは「65度の壁」を死守する
  • パスタの茹で汁の「デンプン質」を接着剤にする
  • マンテカトゥーラ(乳化)でパスタとソースに空気を含ませる

なおこのレシピは、ローマ4大パスタ同時調理検証の第1弾です。
4つのパスタの進化の歴史や、4皿を同時に作る戦略についてはこちらをご覧ください!

目次

カチョ・エ・ペペのルール

Cacio e Pepeの名前の通り、Cacio(チーズ)とPepe(胡椒)で作る、ローマ最古の伝統的なパスタです。
カチョ・エ・ペペには必ず守らなければならないルールが1つだけあります。

それは、チーズは必ず「ペコリーノ・ロマーノ」であること。

ペコリーノ・ロマーノで作ることはローマの人々にとっては絶対に譲れないアイデンティティですが、「シンプルだからこそペコリーノの塩味がアクセントになる」、「茹で汁と合わせてマンテカトゥーラを行う際にトロンとした滑らかなソースになり易い」といった調理的な理由もちゃんとあります。

シンプルだからこそ、素材の質と工程の精度がそのまま味に表れる。
ローマ料理が「素材主義」と言われる理由を、最もストレートに体感できる一皿です。

カチョ・エ・ペペの食材(1人分)

  • パスタ(スパゲットー二など、2mm以上の太いパスタがおすすめ):80g
  • ペコリーノ・ロマーノ(ブロックから削る):30g
  • ブラックペッパー(マリチャ):お好みの量
  • パスタの茹で汁:適量

シンプルだからこそ食材にはこだわりたい

MANCINI(マンチーニ)のスパゲットー二

マンチーニは、イタリアのマルケ州に本社を構えるパスタメーカーです。
2010年創業と若いパスタメーカーですが、彼らの最大の特徴は、イタリアでも非常に珍しい「自社栽培の小麦のみを使用する」という徹底したこだわりです。いわば「農家が作る、パスタの理想形」です。

一般的なパスタは効率重視で高温短時間乾燥させるのに対し、マンチーニは45度以下の低温で最大60時間という長い時間をかけてじっくり乾燥させます。
これにより、小麦本来の豊かな香りと栄養、そして「もっちりとしていながら歯切れの良い」唯一無二の食感が生み出されます。そして茹で汁にデンプンがしっかり溶け出して乳化を助けてくれます

またブロンズダイス(伝統的なブロンズ(真鍮)製の金型)でパスタを押し出すので、表面にザラザラとした「サメ肌」のような質感が生まれます。これがカチョ・エ・ペペの粘度ある濃厚なソースをしっかりと捕まえてくれます。

ローマパスタにはブロンズダイスのパスタが必要不可欠です。


MARICHA(マリチャ)のブラックペッパー

マリチャは、イタリアのヴェネト州ヴェローナの会社です。
ロミオとジュリエットの舞台としても有名なヴェローナでジャマイカカフェを構えていたジャンニ・フラージさんが、世界中の胡椒産地を探し回って見つけたマレーシア、サラワク州の黒胡椒です。

通常、ブラックペッパーは未熟な実を収穫して乾燥させますが、マリチャは木の上で赤く完熟した実だけを丁寧に手摘みして、収穫から24時間以内に加工します。これにより、鼻に抜ける爽やかな柑橘系の香りと、後から追いかけてくる力強い辛みが共存するとのことです。

マリチャの最大の特徴は、独自の乾燥・選別プロセスです。
不純物を徹底的に取り除き、胡椒が持つ「精油成分」を壊さないように仕上げられているため、ミルで挽いた瞬間の香りの立ち方が他の追随を許しません。

マリチャはまさに「胡椒の宝石」です。マリチャの黒胡椒は、単なるスパイスの枠を超え、料理全体の輪郭をくっきりと浮き上がらせる「最後のピース」として機能します。

マリチャの黒胡椒はローマパスタを完成させる最後のピースです。

マンチーニの濃厚な小麦の甘みに対して、対極にあるマリチャの鋭い香りをぶつけることで、シンプルながらも重層的な、本場ローマの味が完成します。

マリチャの写真

Zanetti(ザネッティ)のペコリーノ・ロマーノ

ザネッティは、イタリアのロンバルディア州に本社を構える伝統的チーズメーカーのブランドです。
創業は1900年代初頭と、100年以上の歴史がある老舗で、イタリアを代表する硬質チーズ(ペコリーノ・ロマーノやグラナ・パダーノなど)を世界中に輸出する大手メーカーです。カルディでお馴染みですね。

ザネッティのペコリーノ・ロマーノは、D.O.P.(原産地名称保護)認定を受けた厳格な基準で生産されており、そのままでもワインの最高のお供ですが、パスタに使うとクリーミーなソースへと変貌します。
カルディで手軽に買える本格的なザネッティのペコリーノは、日常の料理を一瞬でローマの食卓に変えてくれます。


実際の調理工程

材料は以上の3つです!ここからは実際の調理工程のご紹介です。

パスタを茹でる

カチョ・エ・ペペの工程はすごくシンプルです。まずパスタを茹でます。
パスタを茹でる時にはMOTHIAの塩を入れると良い感じです。

アルミパンにマリチャを粗めに挽いて火にかける

粒が残るくらい粗くで問題ないです。胡椒を焦がさないように気をつけましょう。
火にかけるとすぐに胡椒の良い香りが立ち上がってきます。

茹で汁を加えてソースのベースを作る

良い香りが立って来たら茹で汁を加えます。
アルミパンはアッツアツになっているのでジュワジュワッっとなりますが気にせずに足しましょう。
茹で汁を加えた後も少し加熱をして、茹で汁に色がついたら火を止めておきましょう。

チーズを削る

今回は4皿同時だったので事前に削っていましたが、本来はこのタイミングで削ります。

茹で上がり1分前ほどのパスタをアルミパンに投入

規定の茹で時間の1分ほど前でアルミパンに投入して、火にかけてソースベースとしっかり混ぜ合わせます。

ここで茹で汁の量を多めにしておくと失敗しにくいです。
マンチーニから溶け出したデンプン質が、乳化の先着材としていい働きをしてくれます。

もし茹で汁を入れ過ぎてもアルミパンは強火にすればすぐ水分が飛ぶので大丈夫です。多めに入れましょう。

火を止めて温度を下げてからチーズを投入(65度の壁)

ここが一番大事なポイントです。

必ず火を止めて、何度かフライパンを振って温度を下げた上で、ペコリーノを数回に分けて入れていきます。
フライパンの温度が高い状態でペコリーノを入れてしまうとすぐに固まってしまってダマになります。

65度を超えてくるとチーズに含まれるタンパク質が凝固してゴムのようなダマになります
イタリア語で「stracciatella(ストラッチャテッラ)」と呼ぶらしいですが、一度固まったチーズはもう滑らかなソースにはなりません。マンテカトゥーラ(乳化)の理想は60度前後です。

完成の写真でもダマになったチーズが上に乗ってますがこれが65度を超えてしまったストラッチャテッラです。
こうならないように、ちゃんと温度を下げてからチーズを投下することがマンテカトゥーラの極意です。

繰り返しになりますが、必ず火を止めて、何度かフライパンを振って温度を下げましょう

アルミパンを煽ってマンテカトゥーラ

チーズは一度で全て入れずに、複数回に分けて茹で汁に溶かすイメージで入れます。
1回目のチーズを入れたら、パスタを煽ってマンテカトゥーラです。

空気を含ませるイメージでアルミパンを煽りましょう。ジャッ、ジャッという音がしてくればいい感じの合図です。
チーズを増やすとどんどん粘度が出てパスタが重たくなってきます。

もし固くなり過ぎたと思ったらパスタの茹で汁を足しましょう(あっつあつの茹で汁の場合は冷ましてから入れてください!)

盛り付けて追いcacioと追いpepeで仕上げ

実は今回、4皿同時調理ではチーズが納得のいく仕上がりにならなかったので、カチョ・エ・ペペはリベンジで作り直りました笑(グリーチャとアマトリチャーナも次回グアンチャーレを仕込んだ際にリベンジしようと思っています)

リベンジ回では茹で汁を多めに入れて、ちゃんと温度を下げてからチーズを3回に分けて入れて「マンテカトゥーラ!マンテカトゥーラ!!」と叫びながらフライパンを振って作りました。

ダマにならずにちゃんとソースになってくれてとても美味しかったです!

失敗しやすいポイント

以下をやってしまうと高確率で失敗して残念なパスタになります。
火を止めて温度を下げてからチーズを複数回に分けて入れるだけ覚えておけばOKです。

  • チーズを入れる際にフライパンの温度が熱すぎる
  • 茹で汁の量が少ない
  • チーズを一気に入れる
  • フライパンをしっかり煽れない(空気を含ませることが大事)

今回作って感じたこと(所感)

カチョ・エ・ペペは「味付けのパスタ」ではなく、乳化そのものを食べるパスタだということです。

ペコリーノの塩気、マリチャの香りと鋭さ、マンチーニのデンプンを含んだ茹で汁。
それらが一体化した瞬間に、驚くほどコクがありながら軽やかな一皿になります。

食材も工程も少ないからこそ、一つひとつの工程がそのまま味に反映される。
これがローマパスタの原点なんだと素直に腑に落ちました。ぜひ一度作ってみてください!

カチョ・エ・ペペをマスターしたら、次は豚の脂の旨味を加えた『グリーチャ』に挑戦してみませんか?動物性タンパク質の爆発した旨みがローマパスタを次のステージへと引き上げてくれます。

最後までご覧いただきありがとうございました!マンテカトゥーラ!!

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