「ステーキを焼くなら、肉を常温に戻してから」
料理本やネットでよく見かけますよね。
ただ、家庭でスーパーのお肉を最高の一皿に変えるにはこれだけでは足りません。
重要なのは、前日から肉の水分をコントロールする「乾燥(エイジング)」と、タンパク質が変性する温度を逆算した「休息」です。
また「中まで火が通っていないだけの生焼け」を「レア」だと勘違いしている方も多いかと思います。
真のレアとは、科学的な根拠に基づいてギリギリまで熱を入れ、肉汁を細胞の中に閉じ込めた状態を指します。
今回は、私が何度も試行錯誤してたどり着いた鉄フライパン1枚でできる「ロジカル・ステーキ」の焼き方を徹底解説します。
ロジックさえ分かれば再現も簡単です。カベルネやテンプラニーリョあたりの赤ワインもお忘れなくですよ!
家ステーキの成功のカギは「焼く前」が9割
今回はいつもお世話になっているオーケーストアで購入した、グラム369円のオージービーフです。
もも肉ですがイチボなので、赤身だけど適度に脂身もある、まさに焼き方と火入れの仕方次第で化けるお肉です!

【前日の準備】塩を振って冷蔵庫で「1日」寝かせる
下処理(ドリップをキッチンペーパーで拭く作業)をしたのちに、塩を振ってバットに乗せて冷蔵庫で寝かせます。
ラップをしないで乾燥をさせることがポイントです。
もうここが全てです。
塩を振ると浸透圧でお肉のタンパク質が変性して、焼いた時に肉汁を保持する力が強まりますが、表面が乾燥していないとどうしてもそこから肉汁が出てしまうんですね。
表面の水分を飛ばしておく(乾燥させておく)ことで、お肉をフライパンに入れた瞬間に爆速で焼き色をつける(メイラード反応を起こす)ことが出来ます。
※ちなみにこの塩をして冷蔵庫で乾燥という工程は、私がいつも作っている自家製パンチェッタの技術を応用したものです。パンチェッタは1週間以上の時間をかけますが、ステーキなら24時間でOKなんです。
まずはトレイから出してお肉の表面をキッチンペーパーでしっかりと拭きます。



続いて両面にしっかり塩を振ります。
塩の量はお肉の1%前後が良いとよく言われますが、両面に薄く塩が乗るくらいの量が大体1%です。
イチボは赤身なのでちょっと強めで良いと思いますが、量よりも均等に振ることが大事です。
高い位置から振るとキレイに均等に振れます!


塩を振ったらラップなしで冷蔵庫に入れます。
冷蔵庫の奥に吹き出し口があると思いますが、ここから冷蔵庫を冷やす冷たい風が出ています。その近くだとより乾燥しやすいので、私はいつも吹き出し口の近くに置いています。

下準備は以上です!めちゃくちゃ簡単じゃないですか?
食べたい前日に準備が必要ですが、ステーキを食べる時は「よし、明日はステーキ食べるぞ!」って決めて準備するようにしましょう!ステーキとはそういう食べ物です。
【道具の選択】出来れば「鉄フライパン」で一気に焼き上げる
ちょうど24時間程経過したお肉がこちらです。前日のお肉と比較すると色が濃くなってルビー色になっていますね!
あとは焼くだけですが、ここで重要なポイントです。
焼く20-30分程前に冷蔵庫から出して常温に置いておきます。
理由はシンプルで、お肉の表面が冷たいままだと中に火が入りにくいからです。
※常温での放置自体は衛生的によろしくはないので、部屋の温度などで適宜判断してください!触ってちょっとひんやりする程度であればもう焼いて大丈夫です。

お肉を焼く時に覚えて欲しいのが、フライパンで焼いて火を入れるのではなく、アルミホイルで余熱で中に火を入れることです。
表面をしっかり焼いて、その後保温して余熱で中に火を入れることで、柔らかくジューシーなステーキに仕上がります。ただ、どんなにフライパンを熱くしておいても普通のフライパンだとお肉を置いた場所の温度が下がり、短時間で表面に焼き色をつけることが難しいんです。

そこでおすすめなのが鉄フライパンです。
私は山田鉱業所の鉄フライパンで厚さが2.3mmのものを使っていますが、とにかく重いです。妻は両手じゃなと持てないくらい重いです。分厚い鉄フライパンは重たいですが、その分しっかりと蓄熱をしてくれるのでお肉を焼く時は鉄フライパンがおすすめです。!
鉄フライパンを使う時は毎回まず油ならしをします。ちょっと多めのサラダ油を入れてキッチンペーパーでフライパン全体に馴染ませます。火はずっと強火で大丈夫です。
油断するとすぐに煙がモクモク出てきますので注意してください!ちょっと煙が出てきたくらいで火を止めて、一旦油を捨てます。(私はキッチンペーパー2枚くらいで拭き取って、牛乳パックに入れて燃えるゴミで捨てています。)

サラダ油を捨てたらオリーブオイルを入れます。私はオーケーストアのオリーブオイルがお気に入りです!

ここでまた強火です!
フライパンもまだまだ熱いのですぐにうっすらと煙が出てきます。すぐにお肉を焼きましょう。

油が多すぎた場合はキッチンペーパーで拭きましょう。あと注意して欲しいのが、フライパンに入れたら絶対にお肉を触らない(動かさない)ことです。
お肉を動かすとキレイに焼き色がつかないですし、鉄フライパンだと最悪焦げついてしまいます。

お肉の下がうっすら色が変わってきたらひっくり返します。多分お肉を入れて1分くらいです。

はい、最高の焼き色です。これを目指しましょう!
ちなみにこれは、前日に塩をして乾燥をさせたお肉であれば誰でも再現できます。

裏返したタイミングで、まな板の上のアルミホイルを2枚重ねて引いておきましょう。

裏面も同じく1分程焼きを入れたら側面もコロコロして焼きをつけます。
ちなみに前日から乾燥させていないお肉を焼く時は、側面から焼くと肉汁を出にくく出来ます。


ちなみに換気全力でしないと部屋中お肉やいた煙が充満します笑!
【火入れの科学】強火で焼き、アルミホイルで「休息」させる
繰り返しになりますが、「フライパンで焼いて」ではなく、「アルミホイルで余熱で」お肉の中に火を入れます。

お肉が焼き上がったらアルミホイルの上において二重に巻きます。アルミホイル2枚で巻くことでしっかり余熱で中に火が入ります。1枚だと熱が抜けやすいですが、2枚だと肉全体を均一に休ませることが出来ます。

私はアルミホイルに巻いたあとはバットの上においてコンロの近くに置いておくことが多いです。
今回3分くらい焼いたので、倍の6分以上は休ませたいところです。
付け合わせのブロッコリーステーキでわちゃわちゃしたので結局10分弱休ませました。

【仕上げ】アロゼ:バターの泡で香りをコーティング
休ませたお肉がこちらです。
私は初めて乾燥させたお肉を焼いたときに、ここで感動しました。
そう、ドリップが全然出ないんです!
ステーキを焼いたことがある方ほどわかると思いますが、通常だとここで赤いドリップが底に溜まってるんです。旨みである肉汁をしっかり受け止めてくれている感じがたまりませんね。

この後はアロゼ(バターで香りつけ)ですが、ここで大事なポイントです。
バターでアロゼする前に、必ずお肉を再度拭いてください!
ここで表面を拭いておくことで仕上げにキレイな焼き色がつきますし、何よりバターが跳ねて怖くて熱い思いをすることがなくなります。両面しっかり拭きましょう!

洗った鉄フライパンにバターを15グラム〜20グラム入れて強火でキャンキャンにします。
焦がしバターっていうくらいなのでちょっと焦げても大丈夫です。バターは多めの方が美味しいです。

バターが溶けたら拭いたお肉を投入して仕上げます!片面1分ずつくらいで大丈夫です。

【実食】断面が語る、ロジカル調理の勝利
焼き上がりがこちらです!焼き上がってすぐに切ると肉汁が出てしまうので、ここでも5分ほど休ませます。

いつもはこのままお皿に盛って、ナイフとフォークで食べますが今回はまな板で切ってみます。
運命の瞬間です。

大勝利です!!

私好みのレア寄りのミディアムで、ビューティフルな火入れが出来ました!

ちなみに生焼けとレアは違いますからね!ちゃんと中心部までギリギリまで熱を入れて肉汁を閉じ込めたジューシーな状態がレアです!

(写真とったりしてたら焦げてしまいましたが、、)付け合わせのブロッコリーステーキと一緒に!
塩とわさびで食べても美味しいですが、この日はワインの気分だったのでバルサミコソースでいただきました!


※つけ合わせのブロッコリーステーキはまた後日別でご紹介しますのでお楽しみに!
まとめ
スーパーで売っている普通の赤身肉でも、しっかりと下準備をしてちょっとしたポイントを抑えるだけで本当に美味しく焼くことが出来ます!
- ポイント
- お肉はからなずキッチンペーパーで拭く
- 前日に塩をしてラップなしで冷蔵庫で乾燥させる
- 焼く前にお肉は常温に戻す
- 短時間で表面に焼き色をつけて、あくまで火入れはアルミホイルで余熱でする
- アロゼをする前に、表面をキッチンペーパーで拭く
週末は牛ステーキを焼いて、赤ワインと合わせてゆっくり過ごしましょう!
ちなみに、火入れの重要性は、以前紹介したカルボナーラの65度の壁にも通じるものがあります。
ローマパスタについて以下記事で詳細に記載していますのでよかったらご覧ください!

最後までご覧いただきありがとうございました!
